08年04月08日
 

 お花見いかがですか?
 私め、大阪城公園で夜桜スケッチをしておりましたら
「姐ぇちゃん、ええ乳(ちち)しとんのう」
 酔っぱらいが女の子に痴漢行為、おまわりさんが駆けつけて大騒動という場面に出会いました。

 その酔っぱらい、身なりのきちんとした人でした。
「これであの人の人生は終わってしまうかも……」
 シラケてしまい、飲み直そうと曾根崎界隈を目指すと、これまた酔い覚めしてしまうスポットの前に出てしまいました。

 かしく寺です。

 正式には法清寺といいます。
 ところは曾根崎一丁目。
「日本1の×××がある」
 神戸に住む友人、宍戸祐一氏が絶賛する優良風俗店街でございます。
 寺の俗名『かしく』は実在した北新地の遊女かしくに因みます。 このかしく、普段は遊女とは思えないほど慎み深くおとなしい女でした。
 ところが酒が入ると一変。酒乱でございました。
「妹に酒をひかえるように、あんたから注意して〜な」
 かしくが酒の失敗をするたび、兄の吉兵衛は店から呼び出されていました。

 そして事件が起こります。
 酔って前後を忘れたかしくは刃物を兄に斬りつけ、殺害してしまったのです。
 かくて
「市中引き回しの上、死罪」
 その処刑にのぞみ、かしくは今生の願いに
「油揚げをください」
 その油を髪につけて髷をきれいにときつけて町々を引き回されたのです。
 女のたしなみを忘れぬ奥ゆかしさが評判となり、お芝居や浄瑠璃に仕組まれて現在もその名を残しているのでございます。

「自分と同じ悪癖に悩む世の人のため、悪酒を止め、酒に乱れぬ神霊とならん」
 かしく最期の一念が語られています。

 よい(酔い)守りを授与

 凶を転じて福となす。
 こうして悪酔い、酒乱祈願を今に伝えているという次第です。
 そうそう、会津には、つい先日まで
「絶対、お酒で乱れない」
 というお店がありました。(週間遊歩『続包丁塚 』参照)

 なんてったって、店主が客より先に酔っぱらっちゃうんですから…。
 はい、酒乱ならぬ、
「主乱」
 でございました。

 

 
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