「ひとり城跡に登りては遠いに空に、ちっぽけだった青春を嘆いたあの若き日。
不来方 ( こずかた ) のお城の草に寝ころびて空に吸はれし 十五 ( じふご ) の心」
三橋三智也さん『古城』のナレーションをする時は石川啄木の詩を引用しています。
不来方とは盛岡の別名で盛岡城には天守閣はありませんが啄木の詩碑が往時の面影を偲ばせてくれます。
お城のない城下町って、たくさんあります。
「せっかく城跡を登ったのに天守閣がない」
と嘆かないで下さい。
在りし日の天守をイメージしようではありませんか
観光客を呼ぼうとして、とってつけたようにつくられた『観光城』より、何もない空間にロマンがあります。
そして石垣です。
風雪を過ごした石垣は歴史を語ってくれます。
そのあたりの詳しいご説明は歴史家の先生にお任せして、散歩家の私めからは
「よ〜く見ると意外な発見をします」
とご案内します。
たとえば写真の中にある石仏(赤丸のところ)がお分かりになるでしょうか ?
これは安土城にありました。築城の際、材料の石が足りないので
「地蔵や石仏を使え」
織田信長らしい命令を下した名残です。
「仏様を石垣にしたらバチが当たりますぞ」
家臣の諫言に信長は
「そんなことはホットケ」
と言ったとか言わないとか……。
お城ウォッチングのネタはつきませんが週間遊歩ではここまでとしておきます。
さてさて、お城が再現というより、観光城が建設されている今日この頃、
こうあって欲しいお城の再現
としてご紹介しますのが尼崎城です。
可愛らしいミニサイズのお城が城跡である明城小学校にあります。
私め、遠目では、せこい模型に見えたのですが、近くば寄って感動しちゃいました。
木型からおこしてコンクリートで固められた立派な建造物でした。「尼崎城の写真をもとに当時の先生と児童が一緒になってつくったものなんです」
なんと昭和15年の作品でした。
この天守閣の周りも川に囲まれ、海に浮かんでいるように見えたところから浮城と呼ばれた戸田氏五万石の昔を堀をもつくって再現しています。 これは一見の価値がございます。
歴史フリークの皆様へ是非にと『オススメ城』です。
(阪神・尼崎駅より徒歩十分)
昨今の不審者侵入事件が問題になっていますので、必ず学校にお断り下さい。
もひとつおまけに、旅情報を記しますと、尼崎は一大風俗タウンでございます。
「尼崎城の後は『尼崎嬢』を」
なんちゃって。
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