08年05月20日
 

  5月13日。暦は夏ですが気象学上は春。
  そして北海道という地理感も合わせ
「網走港春景色」
というスケッチが下の写真でございます。

 名勝?
 とは言い難いショットです。
 ところが見た人によって景勝となるのでございます。
 この位置から「ご展望」遊ばされました方の記念碑が建立されています。

「摂政宮殿下御展望之地」
 とあります。
 摂政の宮とは昭和天皇の皇太子時代のお名前です。
「天皇がご覧になった風景」
 どこにでもありそうな景色が名勝に見えてくるのが人間の心理です。
(建立された昭和 11 年当時は港のアイドル帽子岩を中心にビューショットだったことでしょう)

 このように天皇が訪れたところには『御行幸の地』という記念碑が日本各地に建立されています。

 で、この碑をあえて取り上げたというのも
「あれ、裏じゃん」
 この碑があるところは網走気象台のある高台で、訪れた人がまず目にするのは裏面なのでございます。

「こうしてご覧になったのですよ」
 表面を海に向けてつくられたのです。
 日本中、わけの分からない記念碑、モニュメントが出現している中、さわやかな建立意図を感じさせてくれる作品でした。

 とはいえ、この碑も各地にある記念碑と同じように
「何これ?」
 その由来も忘れられようとしています。
 せっかく先人の残したものに息吹を与えたいものです。

 たとえば、この碑を例にとるなら、昨年よりつくられた祝日『昭和の日』にかけて
「1年にいちど網走史を再認識しよう」
 この碑の前でセレモニーする記念日としたら現代に息づいてくれるのではないでしょうか……。

 雪景色でない網走を初めて見て回って
「網走は記念碑が多いなぁ」
 雪に隠れていた『お宝』を採集して参りました。
 悲しいかな、それらも忘れられようとしています。
 現代に通じることにマッチさせ、もういちど光を与えたいものです。
「網走にはネタがないでしょう」
 酒菜亭喜八・石黒店長から現在の網走事情を伺えたこと、これまたネタ採集でした。

 ……おっと、喜八は味良し、酒良しの名店でソムリエの方も訪れていました。
「泊めさせてもらっています」
 お店で偶然、お会いした網走セントラルホテルの藤田部長
「クルマじゃ通り過ぎちゃう。歩くんじゃシンドイ。網走は自転車で回れたら最高なんですけどね〜」
 シーズンオフでレンタサイクルを利用できないと嘆いておりましたら
「ホテルにあるのをお貸ししますよ」
 なんと、無料で2日もお借りしちゃったという図々しさ。
 嗚呼、良き宿。良き味に恵まれた旅でした。

 ありがとうございました

 その後、北見〜稚内〜士別〜旭川と巡り昨日、帰京。
 遅くなりましたが、ここに改めて御礼申し上げます。

 

 
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